2004年版 長男との初めての琵琶湖一周サイクリング

昔、「おもしろ出張旅日記」がメールマガジンだったころの原稿を見つけました。
今回のと比べると面白いかと思い、アップしておきます。

----- Original Message -----
Subject: 裕介との琵琶湖一周サイクリング 20030321


三月は卒業の季節です。
我が家の長男、裕介も小学校を卒業となります。
この機会に何か体験させてやることはないかと考えていました。
たとえば、四国一周の旅や一人でどこか遠くまで行って来る、
何か記念になるような物を作る、自転車でどこかへ行くなどといろいろと考えていました.

が、なかなか本人もその気になりません。
そんなとき、ちょうどお古の自転車がいよいよだめになってきたこともあって、
買い換えの話がもちあがりました。
今まではお姉ちゃんや近所の人のお古しか当たらなかった裕介は、
「じゃあその自転車でお父さんの言う琵琶湖一周をしてみようじゃないか!」と
決めてくれたようです。

出発の日、天気予報は「今日は晴れ、明日は雨」と告げ、
僕たちに最後まで行くのを迷わせました。
「わざわざ雨に日に行きたくない。」
「湖東はともかく湖西は道も狭く危険だし、もしものことがあったら取り返しがつかない」
心配する親をよそに、本人は「友達にも行くって言ったし行きたい」
「じゃあ、日を変えて行こうよ。」
ただ、そうは言ってもこちらもサラリーマン。
好きに休みが取れるわけではありません。

前日のわが家では大喧嘩、本人は半泣き状態。
ついに決心を決め「行けるところまで行くか?」という僕の声に
裕介は「うん!」と力強くうなずいたのでした。

当日の朝、一日目はいい天気。
オデッセイに自転車を二台積み込んでのスタート。
まずは目指すところは10時に堅田平和堂です。
京都南から高速で京都東へ、そこから西大津バイパス、
そして湖西道路へと車を走らせます。
堅田着は予定通り10時前。
車を止めて、ガードマンに見つからないように自転車をおろします。
幸いにガードマンも朝の忙しい時間でこちらの方には来ません。
荷物をくくりつけ、さっと161号線まで自転車を出しました。

数百メートル国道を走ったところで右折。
琵琶湖大橋に入ります。
船を通すために真ん中が高くなっている橋のため、いきなりの上り坂。
何台かの自転車ツアラーとすれ違いますが、
みんなヘルメット姿の本格派。ちょっと不安になってしまいました。
早速遅れ気味の裕介を待って橋の料金所で記念撮影。
画像


琵琶湖大橋を渡り終えるとすぐ左へ、湖周道路へと自転車を走らせます。
自転車についたサイクルコンピューターが楽しくて、カチャカチャしながら走ることもあって
遅れ気味の裕介。時間と距離ばかりが気になって先を急ぐ僕と、二人の距離は開くばかりです。
気がつくと100メートル近くも離れて待つこともしばしば。
それでも時間とともに距離は伸びて行きます。
約一時間、およそ17キロくらいまで走ったときに裕介が聞きます。
「お父さん、お弁当って持ってきてないよね。コンビニもないしどうするの?」
そう、お弁当はコンビニで調達するはずの、肝心のコンビニがありません。

「まだ1時間しか走ってないからそのうちでてくるよ。」と言う僕に、
おなかの空いた裕介はお弁当のことしか頭にありません。
それでもしばらく走り続けたものの、仕方なく道ばたにあった農産物直売所に自転車を止めて
食材を見に行くことにしました。

「大根2本で100円やって!見てみて、この苺、むっちゃ大きい。
でも1400円もする。家まで持って帰られへんやんな。」と
普段とは違う商品にびっくりのカルチャーショック。

やっと見つけたちらし寿司に「食べられるものはこれくらいしかないし、
コンビニがなかったら困るから買ってもいい?」という声にうなずいた僕でしたが、
車で立ち寄られるお客さんに「そこまで行ったらコンビニがあるよ」と教えてもらって
もう少し走ることにしました。

ほんの数百メートルでファミリーマート発見。自分の好きなお弁当と唐揚げを買っ
てもらった裕介は最高にご機嫌。早速裏の駐車場で温めてもらったお弁当をいただきました。
時刻は11:40。ちょっと早い昼御飯でした。
画像

同じコースを走って野洲川の河川敷まで行く親子連れとエールの交換をしました。

次の休憩は近江八幡・長命寺の麓の妙覚院、僕の滋賀の定宿の一つです。
いつもお世話になっているからちょっとご挨拶を、というのと、
僕が仕事で泊まっているところはこんなところと見せたかったので立ち寄りました。

何でもさわりたくなる裕介は木魚を叩いて大喜び。
手を合わせて道中の無事を祈りました。
ここまで道はほとんど平坦。上り坂は琵琶湖大橋くらいのものでしたが、
ここから安土を抜けるまでは少々のアップダウンがありました。
安土城の横では、織田信長の話やお城の話もしたかったのですが、
そんな余裕はなし。でも新型自転車と裕介のコンビは坂道なんか何のその、
平気の平座で登り切ってしまいました。

あとは、ひたすら道は湖周道路。
左手にはずっと琵琶湖。その後も順調に自転車を走らせながら能登川まで来ました。
ここで裕介の自転車のチェーンがギアからはずれてしまうというハプニング発生。
特に工具も必要なく修理完了。

ちょうど水車で有名な町・能登川町とあって、その水車をバックに記念写真。
そもそもこのあたりは干拓地で土地が低く排水のために作られたというのが記憶の片隅にあります。
しばらく走って次に見つけたサンクスで休憩。
画像


ここで、池田市から西国巡りを自転車で回っているという大学生に会いました。
これから長命寺に行き、戻って今日は長浜泊まり。明日は岐阜に行きたいというので、
山東町の宿・鴨池荘を教えてあげました。自転車の人に声をかけたのは今回二回目。
同じような旅をしているということで心が通うような気がしました。

能登川を過ぎると次は彦根を目指します。
ところがここで裕介が公園に寄りたいと言い出しました。
実はここまで来る間にも言われていたのですが、
何せ先を急ぎたいのでつい聞きとばしていたのです。
でも行路は順調で無事に進んでおり、
今日のところは雨の心配もないので止まってやることにしました。

公園でブランコに乗ったりひとしきり童心に戻ったのは自分の方。
画像

でも息抜きにはちょうどいい気分転換でした。そして彦根。彦根城をバックに写真を撮り、
ユーストアでジュースを買ってもらって、そろそろ疲れてきた裕介は御機嫌を取り戻しました。
アイスも食べて完全復活、そして出発です。次の目標はいよいよ長浜です。

長浜に向かって湖岸道路を走っていくと、
左手に湖がでてきて少しの浜を見つけました。
ちょっと休んで、湖に向かって石の投げ比べをしました。
一つの石でいくつの水跡をつけられるか、というゲームです。
「昔は上手にできたんだぞ!」という僕の言葉を信じる気もなく
「3連発や!」とはしゃぐ裕介でした。

そしてきれいな石を探したり、貝殻を探したりしてひとときを過ごしました。
つかの間の休憩を終えてまもなく、長浜。市街地の西、長浜城のあたりに到着。
ここでまた、お城をバックに写真を一枚。
さて次は宿です。写真ではきれいに見えるビジネスホテル・ウェルネスです。
楽しみにしながら探すのですがなかなか見つからず。
裕介にしかられながらやっとの事で見つけました。

ついてみるときれいなホテルで、
「僕の出張時の時よりもいいや。これで2人7000円は安すぎ」というのが正直なところでした。
晩御飯は外で裕介ご希望の焼き肉と決めていたので、
焼き肉屋さんを探しながら黒壁通りなども見て歩きました。
裕介はホテルを探しているときに嗅ぎつけたパン屋さんを見つけて買って買っての大攻撃。
しっかりパンを買わされてしまいました。
閉店直前で種類がないのがせめてもの幸い、いや残念でした。
焼き肉屋さんは”でん”。
ここでも二人十分に食べ、ドリンクバーも楽しみながら食事は終了、ホテルに戻りました。

ホテルでは裕介がお風呂の使い方がわからず、
「どうやって洗ったらいいの!」と文句を言いながら入るのを、おかしさをこらえながら見ていました。
お湯を張るまでの間はやっぱり、ゲームボーイアドバンス。
「ここまで来て…」というのはなし。
文句も言わずに頑張ったのですから今日は大目に見てやることに。
本日の走行距離約70キロ。

**
二日目の朝、目覚めると、こんな時に限って当たる天気予報通りに雨。
参ったなぁと内心舌打ちするような気持ちで裕介に聞きました。
「雨だけどどうする?」
彼の答えは明快で「行けるところまで行く。
いかれへんかったらまた今度、そこから行く」と固い決意。

ちょっと驚きながらも、「湖西は道も狭くて危険、やめた方がいいのでは」と自問自答の約一時間。
横では出発までの間、少しでもゲームができて御機嫌の裕介。
「せっかくだから行こう!」と重い腰を上げました。

雨の中で、荷物をビニール袋に入れ二台にくくりつけて、
二人とも上だけしか持ってきていない合羽を着て自転車は進みます。

湖周道路は道幅も広く歩道もあってそれなりに安心して走れましたが、
高月町にはいると湖周道路は終了し国道8号線に入ります。

昨日の気温が15度、それに引き替え今日はわずか3度です。
寒い中、体も濡れて冷え切ってきます。
道路は大型車も多く走り、道幅も狭く歩道もなくなります。
8号線に入ってしばらくで、北陸道との分かれ道、木之本町です。
今日一回目の休憩を取ることにしました。

自転車を止めて合羽を脱いで荷物をほどいて、
平和堂の中のマクドナルドに入り濡れた体を休めて、
靴の中まで水がたまっていそうな靴下と、下半身はびっしょりのズボンも履き替えさせました。
二階のダイソーで合羽の下のズボンを買い、準備完了。
約1時間の休憩と出発準備の末、再度スタートしました。
「ここからが最大の難所だ」という僕の声に動じる気もなく裕介は前を進みます。
新しいトンネルが3つできており、それでかなり走行は楽になったのですが、
それでもトンネルの手前は上り坂。
僕のおぼろな記憶で、「これが最後のトンネル」と言った次に
トンネルが現れ、本人はちょっとショック。

でも裕介は一度も休まず、足もつかず、文句も言わず坂を登り続けます。
我が息子ながら、かっこいいなぁなんて思ってしまいました。
さすがにトンネルをすべて終えた後、
「これで後は下りばっかりやんな?」と聞きながらも頑張る裕介でした。

山を下りるように走り続けながらも、次のポイントは少々遠かった今津町。
ここも平和堂。店舗中央の吹き抜けで、裕介が靴下を絞ると水がぽたぽた、
体は冷え切ってしまっています。これじゃあ、つらかろうと、靴下を買ってやり履き替えさせました。
僕は木之本で合羽の下の部分を買わなかったので、足下までびしょびしょ。
僕も靴下を履き替え、ついでにズボンも履き替えました。
着替えただけでかなり下半身が軽くなったような気がしました。
これで元気と勇気ををいくらか取り返した二人は、たこ焼きとコロッケを食べてスタートです。
雨はほんの少し小降りにはなりましたが、相変わらずの無情さで降り続けます。
ここからはずっと湖周道路沿いを走り続けることになります。

さすがに疲れてきたのか、口数も少なくなった裕介はそれでも頑張って走り続けます。
橋の袂の上り坂もちょっとしんどそうです。ここでハプニング。
裕介が道からはずれ道路下に墜落。
前を走る僕は遅れ気味の彼がそうなっていることも知らず、速度を落として待つように走ります。
やっと追いついた彼はそれでも笑いながら報告します。

ほっとして進むうちに、今度は裕介の自転車のギアが時々、
それも「これから坂だ!」「よいしょ!」と言うタイミングでガチャンと
変速しようと動くという故障がたびたび発生。
こぎにくくてバランスも危なっかしくて「見ちゃおれん!」といった感じですが、
これをここで直す技術もなく、文句を言いながらも本人もあきらめる気はなく、
走り続けることになりました。

今津をでて旧江若鉄道の廃線後のサイクリングロードを走ります。
国道から少しはずれて安全かつ廃線を電車で走っている気分は
鉄道ファンの僕にはいい気分ですが、裕介には単なる道。
「ここには以前電車が走っていたんだよ」と話をしました。
すぐ上には湖西線が走っていて裕介には信じられない話だったようですが。
線路跡は一部は国道に吸収されたりしていて所々消えています。
「こっちかなぁ」と道を探すようにして走り続けます。
何せ暗くなる前に堅田の平和堂に着かないと、
それでなくても雨で走りにくいのに、危険が加わって中止せねばなりません。
廃線跡をはずれ、琵琶湖に沿ったせせらぎ街道と名付けられた道に入り、ひたすら進みます。
もうそろそろ、いくら何でももうそろ琵琶湖大橋や観覧車が見えてきてもいいよなぁと
何回も何回も話をしているうちに、ほんのわずかに僕からは観覧車が見えました。
それを裕介に教えてもそのときにはまた、山影に入って見えなくなっていて、また走ること小一時間。
琵琶湖岸から観覧車を見つけることができました。
「もうちょっとやな。頑張ろう!」とますます道を急ぎました。

ところが走るうちにまたまた観覧車は隠れてしまい姿形が見えなくなりました。
闇は迫ってくるし、雨はやまないし、体は疲れてくると三重苦のなかでそれでも裕介は頑張りました。
そして次に観覧車が見えたときには、もうすぐそこ、手の届くような位置にその姿を現したのでした。
それからもまだ15分ほども走ると、やっと出発したときにそばを通ったダイエー、
そしてついに平和堂が姿を見せたのでした。
このあたりは国道の道幅が狭く、僕は時々、自転車を横の壁に当たりながら走りました。
だって反対側に揺れると、歩道から転落=事故となりかねないのです。
でも裕介は目的地が近づいたこともあって、平気で走り抜けていきました。
そして、平和堂到着です。

合羽を脱ぎ、荷物を下ろして、見慣れたオデッセイに積み込みました。
裕介に、「心配しているお母さんに電話しておかないと」というと、「わかった。」と返事はいいのですが、
ご褒美のアイスに気がいってしまって、まずはお菓子売場へ急行。
お目立ての物をゲットしてから電話をしました。
無事に走れたことも、雨の中を走りきったことも威張るわけでも誇るわけでもなく、
ちょっとうれしげな声で報告する裕介に、僕の方がちょっと涙腺がゆるみました。
「よくやった。雨の中、文句も言わずによく頑張ったね」

家に帰って、冷え切った体をまずはお風呂で温めて、おじいちゃんとご褒美のケーキをいただきました。
そこで、裕介の言葉。「今度は雨でないときに行きたい。」
頼もしいその声に「ちょっとうれしい」、「でもお父さんはちょっとご容赦」って感じです、正直言うとね。

費用
高速代 京都南~雄琴    860円
弁当代 ファミリーマート 1000円
夕食代 焼き肉 でん   3874円
宿泊代 ホテルウェルネス 7665円
合羽代 ダイソー      100円
靴下代 平和堂       400円
その他、ジュース、お菓子、アイス、土産代等

合計 20000円弱




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